長崎港で停泊中のクルーズ船で、新型コロナウイルスの集団感染が発生した。閉ざされた船内で感染が広がり、重症者が増えれば、地域医療が一気にパンクしかねない。自治体や医療関係者に緊張が走っている。
長崎県などによると、客船「コスタ・アトランチカ」の修繕工事が三菱重工業長崎造船所香焼(こうやぎ)工場(長崎市)で始まったのは2月20日。予定していた中国での修繕ができず漂流しかねない状況のため、人道的な判断もあって受け入れた。
すでに世界的に感染が広がるなか、感染対策には特に神経をとがらせてきたという。香焼工場の門前では3月中旬から入場者に体温計測や問診票の提出を求めていた。
県は、乗員の途中乗船は14日以内に中国などに立ち寄っていないことを条件とし、3月6日には乗員の下船を制限することも要請。修繕を担当していた三菱重工の子会社・三菱造船も、3月14日以降は乗員の船への出入りはなかったと説明していた。
しかし、4月22日に県庁で開かれた記者会見に同席した三菱造船によると、船を運航するコスタクルーズ社(イタリア)に再確認したところ、3月14日以降も通院や乗員交代のため、乗員の出入りがあったことが判明したという。
ただ、出入りした乗員の行動履歴について三菱側は「観光や食事ではなく、病院に行った」「タクシーで行ったと思う」などあいまいな説明に終始し、「きちんと調べた後に報告する。早急にコスタ社に聞く」と答えるのが精いっぱいだった。
並んで会見した中村法道知事は「3月14日以降、乗下船はないという報告だったので安心していた。大変残念」と不快感を示した。
乗員は623人。1人目の感染…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル